<1>巻頭言
いつもARUNを応援いただき、ありがとうございます。
ARUN(アルン)は出資者98人(個人、法人)で構成される合同会社です。カンボジアの社会的企業を投資により応援しながら、日本発のグローバルな社会的投資プラットフォーム構築を目指して活動しています。
今月はじめ、カンボジアでモハマド・ユヌス氏とのパネルディスカッションに参加しました。ノーベル平和賞を受賞したユヌス氏はカンボジアでも有名人。当日はプノンペン大学内にあるカンボジア日本人材開発センターの大ホールが「ソーシャル・ビジネス」に関心を持つカンボジアの若者でいっぱいになりました。パネリストはユヌス氏を含めて6人。ストリートチルドレンの教育と自立を支援するNGO「フレンズインターナショナル」創設者であるセバスチャン・マロー氏、農村地域で水の浄化、販売事業を展開する「タックサアー1001」創設者のチャイ・ロー氏など、カンボジアで活躍する社会起業家の方々と共にパネルディスカッションに参加する機会を頂き光栄でした。ちなみにフレンズの運営するレストランは、職業訓練のイメージを一新する斬新なデザインとメニューで人気を集め、カンボジアとラオスで5店舗を展開。私もカンボジアに行く度に訪れています。
ユヌス氏のメッセージで心に残ったのは「常識を疑うこと」「質問をひっくり返してみること」「知らないことを恐れるな」。グラミン銀行を始めるとき、誰もが「貧しい人にお金を貸すなんて無茶だ」、「担保なしでは貸せない」と言ったそうです。新しい仕組みが必要だと思ったユヌス氏は、銀行の常識とは反対に行く事にしました。「銀行は金持ちへ、私たちは貧しい人へ。銀行は男性に、私たちは女性に。銀行は担保付、私たちは担保なし。担保がなければ、弁護士を雇う必要はありません!」明快なメッセージでした。
ARUNも社会的投資という新しい仕組みを手探りで作っています。従来の投資とも寄付とも違う、社会的リターンと経済的リターンの両立を目指して、金融のライセンスがなくても投資ができる方法にチャレンジしてきました。昨年は貸金業ライセンスを取得し、融資も行えるようになりましたが、一方で登録業者として守らなければならない規則も増えてきました。ステージが一段上がると共に、より常識との戦いが厳しくなることを感じます。ユヌス氏との会話から、改めてARUNのミッションを思い起こし、社会起業家と共に道を切り開いていきたいと思いました。
皆様もぜひARUNの活動にご参加ください!
功能聡子
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