【連載第3回】社会性モニタリング&評価の重要性の高まりを受けて

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前回(第2回目)は、世界にはどのような社会性評価手法があるのかについて紹介したが、今回はもっと深堀して、ARUNの投資事業の社会性に関するモニタリングと評価の方法、実施時の流れ、指標となる項目の策定について具体的な例を挙げながら紹介していこうと思う。

ARUNでは、実際に投資をするに至るまでに、数ヶ月の期間をかけて念入りに情報収集を行い、現地事務所と共に潜在的な投資先(起業家・企業)へのヒアリングや調査分析を行う。通常、社会的投資(インパクト投資も含め)の文脈で「事業の社会性について評価を行う」という時には、投資後、返済期間中のモニタリングと完済後の最終評価を意味することが多いが、実際には、投資を検討する前、もっと言うなら最初の情報収集の段階から、事業が提供する製品やサービスに潜在的に宿っている社会的インパクトや、起業家のリーダーシップ、更には社会的な課題解決に対する意欲があり、具体的な解決案を導き出す事ができるか、という点までヒアリングを行う。

もちろん、ARUNは寄付ではなく投資を行う会社であるため、投資先にはビジネスとして事業展開を行う基本的な経営・財務能力や様々なリスクを乗り越えて行く体力を求め、財務情報と非財務情報の両方を考慮する。このように、ARUNの投資方針は「事業性基準」と「社会性基準」で構成されており、投資後の事業のモニタリングや完済後の事業評価もこの両輪で行っている(冒頭の図表参照)。

社会性基準については、事業全体がもたらす社会的価値創出の度合いを主に雇用者、地域社会、地域経済の三点から捉えたものを「共通項目」とし、さらにセクター特有(例:農業、エネルギー等)で生み出される価値については「独自項目」として整理している。
例えば、ARUNの実施する投資においては、下記のような項目を考慮している(共通項目)。

・就業機会の拡大、雇用者の増加、所得の向上と維持
・労働環境の改善や教育・トレーニングの機会の提供
・社会的弱者(マイノリティー、路上生活者、農村部出身者、貧困層、女性)への機会提供
・対象地域への経済的な便益
・地域資源の活用
・取引先、パートナー等のネットワーク拡大(関連企業やNGOとの協働、ビジネスチャネルの拡大)
・コミュニティの再生

また、セクターごとの独自項目としては、「非電化地帯への環境低負荷かつ安価な製品の普及」、「無農村への遠隔医療提供による、貧困層の簡易医療へのアクセス増加」、「住民の組織化によるコミュニティ形成」などがあげられる。

 

このような項目について、投資先企業とディスカッションを行いながらモニタリングや評価を行っていくが、実際はお互いにとって試行錯誤の大変な作業である。日本のようにビジネス環境が整い、金融インフラや法整備も完備している先進国でさえ、創業後3年以内の廃業率が70%であることを考えると、途上国でビジネスとして事業を展開し、軌道に乗せ、さらに事業対象地域に対して社会的価値を生み出していくというのは、非常にハードルの高いことである。そのため、 ARUNでは投資と同時に経営支援も積極的に行っている。

【参考】
ARUNでは、この連載のような内容を少人数で学ぶ機会を2時間×3回のスクール形式で開催しています。『ソーシャル「インベストメント?」スクール』(2014年2月5日/12日/19日 19:00-21:00 開催の第1期は満席につき締切)第2期以降の情報は随時公開の予定です。ご関心ある方の参加をお待ちしています。

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