パートナーズエッセイ マラウイを知っていますか?

Malawi

Partner 冨谷武史 在・マラウィ

2012年の12月からアフリカ南部のマラウイ共和国に滞在しています。

現在、政府開発援助(ODA)の業界に携わっていますが、ARUNのおかげで、開発途上国を援助の対象だけでなく、投資先として観る貴重なきっかけを与えていただいています。

開発援助の世界では、マラウイは「農業に依存したアフリカ内陸の最貧国」というイメージが強いと思いますが、一年間マラウイに滞在し、社会的投資の観点からマラウイを考えてみると、マラウイには以下のような魅力と課題があると感じています。(多くの開発途上国に共通する魅力・課題を除く)

【マラウイの魅力】
1.周辺国と比べて人口密度が高く、BOPの観点からは、顧客が地理的に集中しており、市場として魅力的
(マラウイの人口密度は、121人/km2[2011年]であり、国境を接するザンビア[17.4人/km2, 2010年]、モザンビーク[29.6人/km2、2012年]、タンザニア[51人/km2、2012年]に比べて非常に高い。参照元:Wikipedia)
2.国家歳入の4割程度をドナーの援助が占めている現状を打開する方策として、「民間投資」への期待感が政府内で高まっている
(マラウイ政府は、民間資金呼び込みのため、各種法制度を改定中。また2012年に投資貿易センターを設立し国内外で投資セミナーを頻繁に開催している)
3.複数の国際回廊(道路及び鉄道)がマラウイを経由しており、東南部アフリカの物流拠点として成長するポテンシャルがある
4.独立後、一度も武力紛争や軍事クーデターが発生していない(アフリカでは珍しいケース)
5.英語が公用語であり、政府や民間企業とのコミュニケーションは英語でほぼ問題なし

【マラウイの課題】
1.民間セクターに優秀なマラウイ人リーダーが少ない。(若く優秀な人材の多くは、政府職員、ドナー/NGO職員、海外でのキャリア形成(医者、弁護士等)を志望しており、起業家を志望する優秀な人材が少ない。現在、マラウイの民間企業の多くは、インド系や中華系の経営者が経営している)
2.周辺国と比較してインフレ率が高い(マラウイが21.4%であるのに対し、ザンビア6.5%、タンザニア15.3%、モザンビーク3.5%。 参照元:Wikipedia、2012年推定値)
3.輸入超過、外貨不足の状態が恒常的に続いており、海外への送金手続きに時間がかかる
4.内陸国であるため、輸出入ともに輸送コストが高い
5.電力インフラが周辺国と比較しても劣悪であり、製造業誘致の足かせとなっている(自家発電(ディーゼル発電)によるコスト高)
6.地方の農村に住む人々は変化に対して保守的であり、村で新しいビジネスを始めようとすると、他の村人から妬みを買い、嫌がらせを受ける傾向にあるため、地元で起業しづらい(マラウイでボランティア活動をする方からよく聞く話です)

以上、ざっとマラウイの魅力と課題について気が付く点をまとめましたが、このような国を社会的投資先として検討する際に一番の課題であり、また、ブレークスルーとなり得るのは、「良いリーダー(社会起業家)の存在」ではないでしょうか。
仕事の関係でマラウイの起業家と会う機会が時々あるのですが、特に印象に残った起業家の活動を2件ご紹介します。

先日訪問した起業家(男性)は、地元の農民が生産する農産品を活用した加工品の安定的な生産を目標としていました。
彼は、マラウイの食品会社と直接交渉し、同社のベジタリアンフードの中間財(大豆製品)を供給する契約を結び安定した収入源を確保しつつ、商業銀行からの融資を受けて機材を調達し、地元の農民からグランドナッツや大豆を買い取り、食用油を製造中でした。現在マラウイは、食用油の大部分を輸入に頼っていますが、食用油の国内生産が普及すれば、国内の農産品の活用が促進され、農家の収入増や収入源の多様化に繋がることが期待できます。

また、別の起業家(女性)は、マラウイで深刻化する森林伐採と貧困問題の解決のために、地元の元銀行マンとグループを形成し活動中でした。
古新聞紙や段ボールを圧縮して作った人工薪を製造し、森林伐採が深刻な農村に販売するとともに、農村女性に対して、換金作物として期待できるフルーツの栽培や外国人を対象とした土産物の作成と販売を支援していました。また、今まで保険に加入したことがなかった農村女性が保険に加入し将来のリスクを軽減できるように、地元の保険会社との調整も支援していました。

この2名の起業家はどちらもビジネスプランをしっかり作った上で活動している様子ではありませんでしたが、リーダーシップと行動力は抜群にあり、自身が取り組んでいる活動の社会的意義やビジョンを熱心に語ってくれました。

今後、「この人は」と思う社会起業家と出会った際にはARUNでも是非、出資を検討したいと思います(とこれは私個人の願望なのですが)! そのためにも、ARUNパートナーのみなさんも是非一度、マラウイにお越しください。それでは今年もよろしくお願いします!

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