インド、ソーシャルビジネス最前線 その3

INDIA

シンポジウムの原稿をまとめてくれた高野さんが、インドの社会的企業でインターンをするという昨年の得難い体験を3回シリーズで報告してくれています。今回が最終回です。 どうぞ。(バックナンバー:他では読めないインド・ソーシャルビジネスインターン記 その2

 

前回はドリシテの営利組織と非営利組織とのハイブリッドモデルについて紹介しました。最終回となる今回は、ドリシテの創業者サティアンが語ってくれた「農家によって所有されるドリシテを目指す」というビジョンについて考えたいと思います。

サティアンはあるインタビューの中で、ドリシテの株主構成に関する質問への答えのとして「将来的には農家によって所有されるドリシテを目指す」というビジョンを語っていました。この考え方にとても興味を持った私は、ドリシテを去る前にサティアンとこのビジョンについて話をする機会を設けてもらいました。

ドリシテはこれまで数千の村々で事業を展開し、1万5千を超えるマイクロ起業家を繋ぐネットワークを築いてきました。サティアンいわくドリシテでは、こうしたマイクロ起業家と農村コミュニティが発展した際に、農村の人々自身がドリシテに投資を行うような関係性と企業組織を築くことを目指しているそうです。「農村エンタープライズ」といったところでしょうか。ドリシテは農家によって所有され、農家コミュニティの発展と共に成長する企業となるというのです。これは従来の資本主義的な発想とは異なる、企業組織そのもののイノベーションなのかもしれません。

新しい企業のオーナーシップを目指す動きはソーシャルビジネスやBOPビジネスの世界で増えているように思います。インドではファブインディアという企業が農村のクラフト職人達にオーナーシップを持たせるコミュニティ持ち株会社として有名です。また、マイクロクレジットで著名なユヌスも自身のソーシャルビジネスの二つ目のタイプとして貧困者によって所有される企業を主張しています。事業の被益者達がオーナーシップを持つということでコミュニティビジネスに通じるものもあるかもしれません。

ドリシテでの学び感じ得たものの一つはこうした「企業とは何か」という問いかけでした。これは私だけでなく、BOPビジネスの現場に触れた企業の方達との議論の中でも出てくる問いです。私達が先進国で見慣れた企業の姿とは違う「企業」が、ドリシテのようにインドの農村奥地から生まれてきているのかもしれません。ARUNのような社会的投資という視点から「お金の流れ」を考え直すように、ドリシテでの私の経験はこの「企業」そのもののあり方について深く考えるきっかけとなりました。

これまで3回に渡ってドリシテでの学びを紹介してきましたが今回で最後となります。書ききれなかったことはたくさんあるのですが、もしご質問などありましたら、mr3tiago@googlemail.comまでご連絡下さいませ。

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