4月10日(金)
インド3日目。本日は昨日より若干早めの8時くらいに到着しました。既にセッションは開始されていましたが、一先ずはセッション外での企業家との名刺交換に精を出す。その後、午前9時半から企業家によるプレゼンテーション大会であるShowcaseが行われました。
そのShowcase が終了すると、ほぼランチの時間になり、またNetworkingに精を出すことになりました
尚、セッションとは別に、社会的企業を紹介する「見本市」のようなものは別途常設展示されており、そこを眺めていると、初日のディナーで意気投合したLet’s recycleを運営するNepra Resource Management Pvt LtdのCEOであるSandeep Patelに遭遇しました。彼はLet’s recycleのOperationがどのように回っているかをノートパソコンで見せてくれました。
驚いたのは、まずどの程度の廃棄物を幾らで取得し、それをどの程度の価格でどの数量再販売したか日次で管理するシステムを構築していたことです。更には、その情報は自動的にPDF化されて自分達の投資家(それにはIntellecapの関連VCであるAavishkaarも含まれる)に送られています。彼曰く「投資家に一度質問されたら普通に答えるべきだ。ただ二度同じ質問されたら仕組みを作るべきだ。その方がお互いの為だ」。
彼はこのシステムを構築する際に、あるIT企業に全てアウトソースしたと発言しており、そのシステムのコストとクオリティの両立との観点でIT大国インドを見る思いでした。
その後2日間(Preも入れると3日間)にわたって開催されたSankalpも閉会に向かい、15時45分より事実上のファイナルイベントである”Spirit of Entrepreneurship or Quest for Impact: Unusual Partners on an Uncommon Journey”が開催されました。
タイトルの通り、他のセッションと比較すると、技術論ではなくアントレプレナーの精神、心構えをパネラーが語るセッションでした。恐らくこのスペースでは一定程度知られている、いわゆる「豪華」なアントレプレナー又は、財団のトップ等が登壇していました(スピーカーはhttp://www.sankalpforum.com/theme-and-agenda/building-the-four-lane-highway-for-social-impact-in-partnership-with-iic/を参照)。「我々は本当に社会課題を正しく理解しているのか?」「投資に際しては、最初に誰か(Who)?そして、次に何か(What)?そして、最後にどうやって(How)?が重要だ」等の刺激的な言葉が並びました。
Sankalpを名残惜しく思いながら、この日の間にコルカタに移動する必要が有ったため、会場を後にし、国内便でコルカタに向いました。
4月11日(土)
インド4日目。コルカタでは投資先であるiKure(http://www.ikuretechsoft.com/)の面々とコルカタ在住のARUNメンバーである武田さんと合流し、Field Visitに向かいました。
コルカタ市内から車でも2-3時間かかる場所だったので、道中で現状のビジネスの状況について議論しましたが、なかなか噛み合わない側面もあったと実感しました。私たちは現状のビジネスに関して、数字を伴って理解したいのだが、なかなかそれが出てこない、そんな印象がありました。
到着した農村部は典型的な西ベンガル州の村でした(という風に私には映りました)。地域の学校を借りて運営しており、訪問時にも十数人の村人が訪問していました。その場所から一番近い病院までおおよそ25キロと非常に遠い上に混み合っているため何時間も待たされるとのこと。
iKureのビジネスの社会的意義を感じることができました。一方、オペレーションが高度とは言い難く、最先端の医療機器は導入されていなかった上に、何か記録をタブレットに打ち込むということもありませんでした。
一時間半ほど見学した後にコルカタ市内に戻り、道中でiKureの経営陣とカフェで一時間近く議論しました。議論は功能さんの巧みなリードも有り、カフェでの議論は建設的に進展しました。
議論の結論と個人的な所感は以下の通りです。
議論の結論
1: 今後二週間に一度スカイプでの会議の機会を持つ
―まずはコミュニケーションが重要。会議の頻度が多過ぎると負担感が出るが、逆に少な過ぎると間延びする。経験上から2週間と設定
2: 今後どのようにこのビジネスが長期的にサステイナブルかを協働して考える
―経済的には経営陣と投資家であるARUNは同じ船に乗っている。対立構造を作るのではなく、どうやったら他の投資家を納得させられるか一緒に考えたい。”Help me to help you”と提案
3: 2の為にまずは患者数と何人リピートするかをKPIとして記録
―本来KPIは先行指標であるべきなのだが、現状では一番分かり易い数字を把握することが肝要
所感
1: 企業家と投資家との関係は容易ではないが長期的な信頼を構築する必要が有る
―企業家と投資家の関係はしばしば困難を伴う。しかし、Patienceをもって接することで対話が始まる
2: 経営の変化に注視する必要が有る
―(前回の訪問に参加していないので変化は分からないが)随分とオペレーションについて変化が有ったようだ。BtoCのビジネスは値段とクオリティのバランスが本当に重要なので、高級な機材を使用すれば良いと言うことではないが、WHIMというシステムも使用していないとしたらKPIの把握等はどのように行うのか一抹の不安を感じた
3: 計数値をしっかりと把握することの肝要さ
―Let’s recycleとiKureの大きな違いは、Let’s recycleほぼ完ぺきに計数値を把握している点だ。そうすると打ち手が見えてくる。まずは課題を課題として理解する所から経営管理は始まっている。
iKureの面々と分かれた後、武田さんご推奨の地元レストランでインド料理に舌鼓を打ちつつWrap upをし、その後シンガポール経由で東京に帰る飛行機が待つコルカタの空港に向かい、今回のインドスタディーツアーを終えました。