【書評企画】相手の立場にたって行動するための1冊【第 10 回】

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ARUNパートナー 國井紅秋

 

 

『 人を動かす(原題 : How to Win Friends & Influence People )』

デール・カーネギー著 (創元社刊)

 

自己啓発本の聖書といっても過言ではない、

75年にわたり世界中のビジネスリーダーから愛読されているこの一冊。

 

一見、社会的投資とは全く関わりが無いように思えるが、

「相手の立場から物事を考える」という概念では本書とARUNの活動は共通するところが多い。

相手が一番欲しいものを、自己の行動を変える事によってどのように提供出来るか。

そして、その相手と関係を築いた後に、いかにしてポジティブな影響を与える事が出来るか。

この様に相手の立場にたつことは社会的投資の原点としての社会起業家へ

対等的な立場での支援のあり方を考えるために最適な本だと考える。

 

 

本書では、よりよい人間関係を築くための4つの主な原則を取り上げている。

 

1. 人を動かす

2. 人に好かれる

3. 人を説得する

4. 人を変える

 

始めに、アル・カポネをはじめたアメリカのギャングの言動を引用し、

人間は自己反省をしないという仮設を立てた上で、

本書ではビジネスリーダーのみならず「一流の人間」になるための道筋を提示する。

心から人を思いやり、相手の「重要視されたい」という欲望を満たさせるスキルを教示している本書は、

経営学本より人生訓として読まれた方がいいだろう。

 

又、歴史的人物の伝記や自ら聞いた事例を用い、カーネギーは法則化した実践的な手法を説明する。

事例の成果が若干金銭的なものに集中している気があるが、

様々な業界で如何に一つ一つの原則が実践的に使えるか、

そしてどのような結果が導き出されるのかが分かりやすく述べられている。

 

私の中で一番印象に残った引用は、「人を説得する」ための

「相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない」原則で用いられている、

ベンジャミン・フランクリンの事例である。

フランクリンは他者を非難する癖を自己反省し、言葉・考え方を自ら強制的に変える様努めた。

例えば、「確実に」や「明らかに」などという断定的な言葉を使うことを自ら禁じ、

「~と推測する」や「~と想像する」などといった婉曲的な言葉を使うように心がけたのだ。

移行段階は、自らの性向に対する闘いであった、とフランクリンは述べる。

しかし、年月が経つに連れ、より良いコミュニケーションを行うことが癖になったという。

こうして自己反省と自ら強制して新しい習慣を作ることにより、

フランクリンは彼自身の人生をも変え、米国の建国に偉大な貢献を果たしたのである。

 

 

途上国の社会起業家に対し、投資・経営支援を通じた対等的な事業支援を行っていく上では、

起業家の立場から物事を考えて活動を行う事は不可欠である。

元来の途上国援助・投資の反省から生まれた社会的投資の暁である今、

フランクリンの事例の様に、ARUNを初めとし、

日本の比較優位を用いた社会的投資が繁栄する日が来るのを願っている。

 

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