パートナーズエッセイ 「チュニジア赴任記」

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Partner H.H

 

■アフリカ、チュニジア

2009年半ばより5年弱の間、会社の仕事の関係にて、遠くアフリカの国、チュニジアで生活しました。家族を日本に残し、寂しい単身赴任です。イスラム教国なので娯楽はありません。チュニジアは地中海に面した人口1000万人強の小さな国。国の南部はサハラ砂漠。

皆さんが砂漠と聞かれたらイメージされる、風が吹けば砂がサラサラ流れるような砂丘地帯が広がっています。アラビア語が国語、かつて仏の保護領あった為仏語が通じますが、英語はほとんど通じません。アラビア語と言っても、仏語の単語とミックスしたアラビア語で、会社の部下達も弊職に聞かれたくない話を同僚とする時は 仏語の度合いを下げ、(弊職が少ししか理解できない)アラビア語の比率を高め、弊職が立ち去れば元の度合いに戻す等、ある意味語学の天才でした。

余談ですが、隣国リビアもみていたので頻繁に行きましたが、こちらは空港にも街中(交通標識)にも数字を含めアルファベット表示が全くない、100%アラビア語の世界だったので苦労しました。今は亡きカダフィー大佐の政策だったのでしょうが。

■アラブの春

チュニジアは「アラブの春」の発火点です。2011年にこの国で起きたジャスミン革命は、その後リビア、エジプト、シリア等に広がりました。以下、写真を並べたのでご覧下さい。

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左上:かつての北アフリカの独裁三巨頭です(左からベンアリ、カダフィー、ムバラク)

右上: 革命後もいたるところで行われたデモ

中央:これ何だと思いますか。車が燃やされるとこうなるのです。いよいよ独裁者の命が危なくなり海外(サウジ)に脱出した際、弊職は運よく社内会議に出席する為、ドバイにいました。その後治安が急激に悪化、また空港も閉鎖されチュニジアに戻れず暫くパリで避難生活をしていたのですが、やっとチュニジアに帰ったと思ったら、住んでいた家の前でこの様に車が4台焼かれていました。もしあの時その場にいたら、今この世にいなかったかもしれないと思うとぞっとします。また生まれて初めて銃声も聞く事ができました。あんなに乾いた音だとは知りませんでした。

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左上:革命一周年(2012年)

中央:首都チュニスでの野党党首暗殺(2013年)

右上:2013年1月アルジェリアで起きた人質事件を覚えていらっしゃるかと思います。多くの日本人も犠牲になりました。弊職アルジェリアにも頻繁に行きましたが、この事件の北アフリカ日本人社会に与えた影響は多大でした。この事件、リビアーアルジェリア国境付近で起きたのですが、チュニジアから120Kmしか離れておらず、またイスラム・マグレブ諸国のアルカイーダ機構(AQIM)の犯行でしたが30人の犯人の内10人がチュニジア人でした。写真は2014年、つまり今年になってチュニス郊外で起きたAQIMとの銃撃戦です。家から車で5分の場所にテロリスト集団が潜伏しており、そこを治安部隊がとりおさえた事件です。びっくりでした。

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いつも心の救いは地中海でした。朝焼けの世界。海の向こうはイタリア。

■イスラム世界でのCSR

話は変わりますが、イスラム世界での会社としてのCSR、なかなか難しいものがありました。イスラム教にも その五行(義務として課せられた行い)の一つに「ザカート(喜捨)」という教えがあります。「今日のあなたが財産を成すようになったのは、全てアッラーの意志+働きかけに依るもの。個人だけでは何ひとつ成し得なかったではないか」それ故、同様に帰依する者たちへ分け与えることを、信仰の証とする。こういった教えです。結果として地元の博物館に遺跡発掘の為の車など色々なハードを供与させて頂くにとどまりました。文化省大臣宛に、喜捨をさせて頂く旨の書状を出し、許可を取得し、やっと喜捨を実行できる、といった手順です。

当地にアフリカ開発銀行の本部があり、日本のマイクロファイナンスの権威の方もいらっしゃったので、ちょっと変わったCSRプロジェクトをやってみようかとは思ったのですが、結局できず。弊職、まだまだ勉学と修行が足りません。

キリスト教国(欧米)、仏教国(タイ)に加え、初めてのイスラム教世界での生活でしたが、やはり日本人には精神的に少し遠い世界。ただユヌスさんのバングラデッシュはイスラム教国、グラミンもサブサハラの英語圏と共に中東・北アフリカでも活動を行っています。失業率が高い社会で、職のない若者がイスラム過激派組織に入信していく現在の状況。

今後、アフリカのイスラム社会からも「社会起業家」がどんどん出てくる日が来る事を、切に願っています。

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