パートナーズエッセイ 「カンボジアの万能布・クロマーとの出会い」

krama

Partner 鈴木千枝

 

民族衣装を纏っている人たちに出会うと、自分の背景にある文化や生活習慣を大切に思っている気持ちが伝わってくるようで、とても素敵だなと思います。台湾、ブータン、インドネシア、沖縄の離島等々で生活に根差した染織文化を訪ねる旅を続けているうちに、私自身も触発され、機会を見つけては和装で出かけるようになりました。

■カンボジアの万能布・クロマーとの出会い

まだまだ数は少ない私の着物ワードローブですが、なかでも特に気に入っているのがカンボジアの布、クロマー(Krama)を着尺にして仕立てた着物です。クロマーはカンボジアで昔から使われている木綿の布で、スカートやエプロンにしたり、頭に巻いたり物を包んだり運んだり、はたまたハンモックとして利用したりと日常生活のなかで様々に工夫されて大活躍しているそうです。ご縁あってお世話になっている着付の先生が自ら立ち上げたクロマー着物のブランド「ポンナレット」でその存在を知りました。現地の工房と協力し、少しでも雇用を増やし現金収入が得られるような取り組みを行っているそうです(ちなみにこちらのブランド名は元カンボジア難民の久郷ポンナレットさんのお名前にちなんだネーミングだそうです)。

 

■手に触れたところから想像してみる

 

ARUNのパートナーでありながらまだカンボジアに行ったことがない私ですが、クロマーの着物に出会い、その使い勝手のよさや手触りの心地よさに触れるうちに、ほんの少しですがカンボジアに住む人たちの日常生活を垣間見ることができる気がしています。これだけ柔らかいなら赤ちゃんのおくるみにしても気持ちよいだろうな、こんなに丈夫なら果物を包んで担ぐのにも便利だろう、汚れても水でじゃぶじゃぶ洗えるしすぐ乾くからスカートやストールとしても気軽に着回しができるだろうな、そしてこの布の織り手もきっとそのように使われることを想定して織り進めていったのではないかな、と想像が膨らみます。

実は初めて「カンボジアの人たちが日常的に使っている布」について知ったとき、私が最初に思い浮かべたのは、銃を持ったポルポト派少年兵の首に巻かれたストール状のものでした。報道写真で見た内戦国の一風景でしかなかったものが、実際触れてみることで身近にある確かな存在として感じられ、その背景について想像力を働かせる起点になったのです。

 

■交易が織り成すもの

 

カンボジアから遠く離れた日本にいる私が、クロマーの着物というモノを通じて現地に思いを馳せるのは、きっかけとしてとても面白いし私の生活を豊かにもしてくれていると思います。

交易によって得られることには、そのモノの実用的な側面だけではなく、それらが手元にやってきた背景を理解し、もともとの場所での使われ方を想像することで、生産者と消費者が有形無形のコミュニケーションを取れることも含まれているのではないでしょうか。

ARUNの活動も、投資によって経営資金を提供し雇用の拡大を目指すことのほかに、現地の人たちの暮らしに思いを馳せ、一生活者としてどんなことが共有できるかを想像できることも大きな「投資リターン」ではないかと思います。

例えばサハクレア・セダックのように、投資するだけでなく、天然はちみつの日本への輸入をサポートすることで、より現地の環境問題や農村コミュニティへの理解を深めることができます。また、フランジパニ・ヴィラ・ホテルのように実際に宿泊し、従業員の顔が見えるサービスを享受することで、現地の人たちの暮らしや課題を想像することもできます。

一般的な投資ファンドではなかなかここまで思いを至らせて投資することは難しいと思いますので、これからもできるだけ想像力を働かせてARUNの投資にかかわっていけたらと思っています。

(記事最初の写真の説明)
着物はカンボジアの手織りクロマー、帯はラオスやカンボジアの手織りシルク、バッグはタイのシルク。
一見純和装ですが、主な素材は東南アジアの伝統布です。
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